CONFESSION · 体験記 #01

日ナレに何年通えば、
事務所に入れるのか。
— 5 年通った僕と、
同期 15 人の行方を全部書く

日ナレに 5 年通って、クラス 15 人で事務所所属したのは 0 人だった。学費はいくら払ったか、一番きつかった瞬間はどこだったか。現役声優の僕が、誰も書かない養成所のリアルを正直に書く。

「日ナレって、何年目で事務所に入れるんですか?」

これ、養成所に入る前に必ず気になるやつ。でも、誰も具体的な数字で答えてくれない。
だから今日、僕が書く。

日本ナレーション演技研究所(通称 日ナレ)に 5 年通った僕の、クラスにいた 20-24 人の同期から、最終的に事務所所属になったのは何人だったか。

学費はいくら払ったか。一番きつかったのはどの瞬間だったか。

正直に全部書く。

これを読んでるあなたが、これから日ナレに入るか迷ってる人でも、もう通ってて先が見えなくなってる人でも、たぶん知りたかった話のはず。

CHAPTER 01 — RESULT

僕のクラスから、日ナレ経由で事務所所属になった同期は 0 人だった

先に結論をぶつける。

僕が 5 年通った日ナレのクラス、最後まで残ったのは 15 人

そのうち、日ナレの系列事務所に所属できた同期は 0 人

僕自身は今、事務所に所属して声優をやってる。だけど、それは日ナレに 5 年通って自動的にそこに辿り着いたわけじゃない。

「え、ゼロなの?」って思ったあなた、正常な反応。僕もこの数字、卒業してから振り返って改めてゾッとした。

念のため言っておくと、これは「日ナレが悪い」って話じゃない。日ナレに 5 年通ったから今の僕がある。だけど、「日ナレに通えば自動的に事務所に入れる」って思って入るのは、たぶん間違ってる

それを、5 年分かけて学んだ僕が書く話。

CHAPTER 02 — TUITION

学費の実数 — 1 年目 36 万、2 年目以降 22 万、分割払い

養成所選びの前提として、お金の話をしておく。僕の場合、こうだった。

TUITION · 年間学費
YEAR 1 演技 + ボーカル 週 2 36万円
YEAR 2-5 演技 週 1 22万円 / 年
5 年合計 124万円

これを一括で払うのは無理だったから、年 4 回の分割払いでずっと回してた。バイトしながら払ってた人がほとんど。

正直に言うと、僕も 1 年前くらいに学費の支払いが厳しくなりかけた時期がある。声活ツールを開発するのに AI に課金しまくって、月の支払いが膨らんで「やべえ、足りるかな」ってなった。

そのとき僕がやったのは、オーディションを受けまくって稼ぐことだった。これは事務所に入ってる人間しかできないから、養成所生にはおすすめしにくい。でも、声優の道を続けるなら 「お金が切れたら終わる」現実とは絶対に向き合うことになる。

学費の額面より、「5 年分続けられる支払いプランを自分で作れるか」のほうが、最初に考えるべきこと。

CHAPTER 03 — FATE

同期 15 人の行方 — 卒業した後、みんなどこに行ったか

クラスの定員は 20-24 人。

5 年経って、最後のクラスに残ってたのは 15 人前後だった。残りの 5-9 人は、途中で辞めたか、進級できなかったか、別の道に進んだ。

最後まで残った 15 人がどうなったか、僕が知ってる範囲で書く(個人を特定できない粒度に丸めてる)。

CLASS OF 15 · 5 YEARS LATER
日ナレ系列の事務所所属NINARA-AFFILIATED AGENCY 0
日ナレ系列以外の事務所所属OTHER AGENCY (= 僕) 1
声優の道を続けながら、まだ事務所未所属STILL TRYING 複数
声優の道を一度やめて、別の仕事に就いたMOVED ON 複数
連絡が途絶えたOUT OF CONTACT 少数

「日ナレ卒業 = 事務所所属」じゃない、ってこと。

それどころか、「日ナレ卒業 = スタートライン」ですらない。ここから次の養成所に行く人、フリーで活動する人、別の業界に就く人、いろんな道に分かれていく。

この事実を、入る前に知ってる人と、5 年後に気づく人がいる。僕は完全に後者だった。

CHAPTER 04 — THE NIGHT

一番きつかったのは "受からない夜" じゃなくて "同期が先に受かった夜" だった

オーディションに落ちる経験は、僕もたくさんしてる。

事務所のオーディションは 7 回くらい落ちてるし、案件のオーディションは 3 桁を余裕で超えてる。数えるのもやめた。

だけど、本当にきつかったのは「自分が落ちた夜」じゃない。

それは、同期が先に受かったことを知った夜だった。

23 歳 · 秋

養成所の休み期間中だったと思う。

僕は同期のメンバー数人と集まって、自主練をやってた。レッスンがない期間も止まらないように、お互い台本を持ち寄って、読み合いして、講評し合う。自分たちで作った時間だった。

練習が終わって、みんなで夜ご飯を食べに行った。

その席で、ふと話題に出てきた。

「あいつ、〇〇プロの最終審査まで進んだらしいよ」

僕と同じクラスにいて、途中で別クラスに分かれた仲間が、事務所の最終審査まで受かったって。

その瞬間、僕の中で何かが止まった。

そのテーブルで

「すげえな!」「マジで!?」「やったな!」

その場では、みんなで盛り上がった。僕も笑顔で「おめでとう」って言った。

でも、心の中で起きてたことを正直に書くと、こんな感じだった。

— 心の中の比率 —
97
%
悔しい
3
%
嬉しい
本音 表向き

笑顔で「おめでとう」と言いながら、
本当はこの比率だった。

仲間が受かったのは、本当に嬉しい。これは嘘じゃない。あの時間を一緒に過ごしたメンバーが前に進むのは、心から喜ばしいこと。

だけど、それはたった 3% だった。

残り 97% は、こんな感情で埋め尽くされてた。

その場の雰囲気を暗くしたくないから、僕は無理に笑顔を作ってた。

本当に 97% 悔しいのに、100% 喜んでるように見せてた。

このことを、当時の僕は誰にも言えなかった。「悔しい」って口に出した瞬間、自分が小さい人間に見える気がして、プライドが許さなかった。

同じ気持ちを経験したことがある人、声優志望じゃなくてもいるはず。

スポーツでも、勉強でも、就活でも、「仲間が先に結果を出した瞬間に味わう、あの 97:3 の感情」

CHAPTER 05 — THE MORNING AFTER

翌朝、僕は切り替わってた — "謎の自信" と "確信ある自信" の違い

その夜、家に帰ってから僕がやったのは、練習じゃなかった。

パソコンを開いて、開発作業に没頭してた。当時から声活ツールを少しずつ作り始めてて、そっちに逃げた。

翌朝 · 6:00

目が覚めたとき、もう切り替わってた。

引きずったのは、その日だけ。

これは、声優活動と並行してた別の経歴がデカい。スポーツジムでインストラクターを 3 年やってたこと。

筋トレって、メンタルが整う。

養成所に入った最初のころ、僕の自信は「謎の自信」だった。1 週間前まで全然練習してないのに「いける気がする」って思ってて、当然のように落ちた。

筋トレを習慣にしてから、それが「確信ある自信」に変わった。

謎の自信は、根拠がない。だから落ちると一気に崩れる。
確信ある自信は、毎日積み上げた習慣がベース。だから、ひとつ落ちてもベースが揺らがない。

筋トレって、わざと筋繊維をぶっ壊して、超回復で前より強くなる仕組み。オーディションも、同じ構造にできる。

だから同期が先に受かったあの夜、僕は 1 日だけ引きずって、翌朝には次に向かえた。

「メンタルが強い」とかじゃなくて、身体の習慣を作ってあったから

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CHAPTER 06 — THE PATTERN

5 年通って分かった、「日ナレで事務所に入れない人」の共通点

「なぜ僕は受からないのか」

あの夜から、ずっとそれを考えてた。

そして、5 年通って気づいたことがある。

養成所にいるときのクラスメイトは、ほぼ全員、真面目だった。

レッスン中、講師の話を聞いて、課題台本に向き合って、講評を必死にメモして、アピールに必死だった。普段練習してないやつでも、その 90 分の中では真面目だった。

これは「仕組み」が効いてたから。

養成所っていう箱の中、講師の前、同期の視線がある状況、評価が下る環境 — そういう仕組みが、人を真面目にさせる。

問題は、養成所がない時間だった。


僕が観察してたのは、レッスン前後の 放課後の自主練

形式上はみんな「自主練」って言って集まる。でも、ふとした会話で、その週のアニメ、最近バズったお笑い芸人のネタ、新作ゲームの話 — そっちにノリが行くと、ずっとその話で時間が溶ける。

これは別に悪いことじゃない。みんなエンタメが好きだから声優を志してる。

ただ、「練習に来た時間」が、「練習しない時間」になってることに、その場のみんなは気づきにくい。

僕もそうだった。最初の数年は、そっち側にいた。


結果を出す人と出さない人の違いは、才能じゃなかった。

「養成所の外でも、仕組みを自分で作れるかどうか」 だった。

養成所内:仕組みが用意されてる → 真面目
養成所外:仕組みがない → 時間が溶ける

これが 5 年間、ずっと変わらず続いた。

そして 5 年後、クラス 15 人で事務所所属がゼロだった。

CHAPTER 07 — THE SYSTEM

だから僕は、養成所の外に "仕組み" を作った

23 歳の秋、僕は気づいた。

「養成所がない時間にも、この仕組みが続けば、アウトプットの時間が増える」

そこから作り始めたのが、ぼいラボっていう Discord コミュニティ。

最初は、養成所の同期と一緒に練習できる場所として作った。Discord の通話は低遅延・無料で、台本の読み合わせをするのに最適だった。

「全国の声優志望に向けて」とか、立派なビジョンはなかった。最初は本当に、自分と同期のためだった。

でも、作っていくうちにアイディアが湧いてきた。

「これ、全国の養成所生にも使えるかも」って気づいた。


今のぼいラボには、養成所に通ってる人、独学で頑張ってる人、養成所を辞めようか迷ってる人、事務所に所属して活動してる人 — いろんなフェーズの声優志望が集まってる。

「97 対 3 の感情」を、本音で話せる場所として育てたい。

笑顔で「おめでとう」って言いながら、心の中で 97% 悔しがってる人が、その 97% を吐き出せる場所として。

そういう場所が、養成所の外には驚くほど少ない。

だから、作った。

CHAPTER 08 — TO YOU

もしあなたが日ナレに入る前にこれを読んでいるなら

最後に、23 歳のあの夜の僕がいたら伝えたい一言を書く。

「ぼいラボに入れ。仕組みの中に身を置いて、時間を溶かすな。」

入る前のあなたへ。日ナレは悪い場所じゃない。学費に対するリターンは、自分の習慣次第で大きく変わる。

ただし、入っただけでは事務所に入れない。これだけは覚えておいてほしい。クラス 15 人で 0 人だった事実が、それを証明してる。

すでに通ってるあなたへ。もし、養成所の時間が溶けてるなと感じてたら、それを変える方法はある。

ひとりで頑張る必要はない。同じ気持ちの人と、仕組みの中で続ければいい。

僕が 23 歳のあの夜に欲しかった場所を、今、作ってる。

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